早稲田大学 人間科学学術院
「生命の起源」に関して解決するべき課題の一つが「RNAワールドにどのようにタンパク質が
誕生したか?」である。現存するタンパク質の基本的な構造単位は20種類のL-アミノ酸(標準ア
ミノ酸)であり、標準遺伝暗号表によって指定されている。ほとんどの場合、現存する生物はこ
れらのアミノ酸を環境から取り込むか、生合成経路を経て細胞内で合成し、タンパク質合成に利
用している。しかし、生物によるアミノ酸生合成経路が確立する以前の原始的なタンパク質合成
では、原始環境で非生物的に合成された(原始地球上で合成された、または、宇宙で合成されて
地球に運ばれた)アミノ酸だけが利用されたはずである。現在のところ、20種類の遺伝暗号表に
指定されているアミノ酸が原始地球上にすべて存在していたかは定かではなく、いくつかの研究
が、しばしば「プレバイオティックアミノ酸」として参照される10種類程度のアミノ酸だけが原
始地球上の存在したことを示唆している。
そこで当研究室では、最低限何種類のアミノ酸があれば、機能を持つタンパク質をつくること
ができるのか?その「最少アミノ酸セット」と「プレバイオティックアミノ酸」は一致するのか
?ということを、実際に少数種類のアミノ酸だけを用いてタンパク質を再構築する実験により検証
している。