早稲田大学 人間科学学術院
宇宙における生命の普遍的要素に、生命情報を持つ高分子とその生命情報を子孫に伝えるために
機能する高分子の存在が挙げられる。地球生物では、核酸が生命情報を持ち、機能分子としてタンパ
ク質が使われている。タンパク質の構造ユニットであるアミノ酸は宇宙に相対的に多く存在すると推
定されている4つの元素、H、C、N、Oから構成され(一部のアミノ酸はSも含む)、比較的単純な構
造を持ち、宇宙にも普遍的に存在すると考えられる。このことは、宇宙における生命においても、ア
ミノ酸を構成単位とするタンパク質が機能性高分子となっている可能性を示唆する。
隕石中の有機物組成は宇宙に存在する多様な有機化合物を反映していると推測できる。地球に落下し
た炭素質コンドライト隕石の分析からはいくつかのアミノ酸が見つかっており、これらのアミノ酸が
宇宙に存在する可能性を示している。また、小惑星探査機が採取した試料からもアミノ酸が検出され
たことが報告されている。そこで当研究室では、宇宙に存在する可能性が高いアミノ酸種から機能を
持ったタンパク質を合成できるか検証し、宇宙でもタンパク質がつくられる可能性を探ることで、宇
宙における生命の起源の手がかりが得られるのではないかと期待している。